パリの副都心、デファンスに新設された歩道橋を紹介します。
当地は現代のハイテク歩道橋が3つも近接してひしめく、特異なポイント:ホットスポットとなっています
デファンス地区はパリの都心から少しはずれにある副都心。
テットデファンス:新凱旋門がその顔です↙
今回、ご紹介するのはコチラ:マークミムラム設計の"Passerelle des Bouvets" パセレル・デ・ブーヴェ 。
写真はMarc Mimramのサイトおよびコチラのサイトから。
氏はセーヌ川のソルフェリーノ橋で有名です↓
さて本橋、構造形式としては斜張橋。
歩道面がゆるやかにS字にカーブしており、その途中に支柱が立ち、床面を片面吊りしています.
曲面壁のビルの間を縫うように走っています。
立面図↓
全景図↓ わかりやすいですね
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床構造は支柱側に骨となる四角断面の梁が通り、そこから片持ち梁が飛び出す構成。
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さて、これまでの写真、何気なく見ていたかもしれませんが、次のような特徴があります。
この橋のイチバンの見どころ、技術的に特筆すべきところです。
下の図で説明します。
床面がカーブしていて、それを外側で吊った場合、フツーに吊ってしまうと、遠くを吊るケーブルは床面の上にかかってしまい、これでは通行のジャマでしょうがありません。(左図)
チョージャマ。歩道橋の用をなしません(><)
これをこうします。↗
まず床面の外側に吊り柱を立て、それにケーブルを留めて、迂回、経由させるようにします。
そうすればアラ不思議(^^)全くジャマになりません。人がフツーに通れます。
こちらの写真が一目瞭然。
この柱は、ケーブルがまっすぐになろうとするのを防いで位置をズラしており、このようなものをデヴィエーターdeviatorと言います。
直訳すると「偏差材」。位置を偏差させる、ズラす役割の材ということです。
デヴィエーター詳細。
デヴィエータはケーブルが張力でまっすぐになろうとすることにより床側へ引っ張られますから曲げモーメントが作用し、コレに耐える必要があります。曲げ材、ということです。
問題としている側のスパンはケーブル、吊り柱=デヴィエータとも細かく密に入っていますが、これはおそらく、数を増やすことで一本一本に掛かる力を小さく分散させ、部材のサイズを小さくしてるのだと思います。
言われなければ見過ごしそう。気づきもしませんが、かなりのテクニック。ダイブ苦労したのではと思われます。
ところでこのデファンス地区、本サイトで取り上げたことがある、以下の現代橋が近接して立っており、非常に特異な場所となっています。
Google earthでご説明。
上写真でまず、Aの正方形はテットデファンス=新凱旋門。Bの三日月形ビルは今はなき黒川紀章氏デザインのパシフィックタワーです(下写真)。
そしてCが今回紹介したマークミムラムの歩道橋。
Dは黒川紀章氏とピーターライスのデザインのジャパンブリッジ
Eはヨルグシュライヒのチョーハイパーテクニック橋、カーブしたビル壁に巻き付くバルミー橋です。
(左:ジャパンブリッジ。背面がパシフィックタワー 右:バルミー橋)
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こんなに密集して立っているなんて!まさにホットスポット!
もしアナタが「欧州橋梁視察旅行」を計画するならゼッタイに!ココを外してはいけません。マストです。
今年の社内旅行はパリに決まりだ~! さっそく部長に企画書提案だ~!
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