トツゼンですが世の中には様々な波があります。
普段使っているスマホも電波と言う「波」を利用したものです。
また我々の仕事でも「床の周波数」などと言うように床がサイン波を描いてたわみます。
あるいは景気の「波」で給料が上がり下がり、波打つこともあるかもしれません(>O<)
今日はそんなおはなし。
給料が波打っちゃ困りますが。。(^^;)
波状のものとして建築業界で思い浮かぶのはコチラ。
簡易な屋根としておなじみ、波板鉄板。コルゲート版と言います。
コルゲートとはまさに波状の、と言う意味です
下図で示すように、一枚の板はその高さHはほとんどゼロですが、
波型になることで構造体としての高さ=成ができます。
これにより力に抵抗できる高さが増え、効率的になります。
これはシェル構造の仕組み、原理です。
なお、このようにカタチが変わることで力を支える、伝達することを「形態抵抗」と言います。
支える板の重さ、総重量は全く変わっていないのに、
曲げて形態を変えるだけで力の負担能力が大幅に変わるのです。
このように波状板=コルゲート板は通常、屋根など=平置きに使うのが普通ですが、近年はコレをタテにも使うことがあります。
どういうことかと言うと。。。たとえばH鋼のウェブ=タテ板の部分にこの波板を使うということです。
このような工法、土木(橋梁)の世界では割りと知られており、いくつかの実作に用いられています。
その名もズバリ、波型鋼板ウェブ合成構造研究会、という協会が推進しています。コチラに公式HP
上記はそのHPより。日見夢大橋。
ウェブが波状であることより、影がユーモラスな表情になっています♪
この工法、もともとはフランスで開発されたものですが、日本に「輸入」、近年、研究が進んだものです。建築の世界では見たことないですね。
私事ですが以前、ある鉄骨ファブさんに「こんなのどう?」と聞いた所、「波板状の加工およびそれをフランジへ溶接するのが手間で、フツーのH鋼の方がありがたい」と言われてしまいました(**)
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上記の橋、、基本はRC橋なのですが、ウェブに当たるところをこの波板鋼板にしています。つまりRCとSの異種構造、混構造ということです。
下図は同協会HPからの説明図。
この波型鋼板の特徴として次のようなものがあります
(1)鋼板であることで(全てRCである場合に比べ)自重大幅軽減
(2)波型よりほとんど座屈しない (座屈耐力上昇)
(3)アコーディオン効果
(2)は、波状であることでシェル構造となり、一枚の板よりも剛性が上がるからです
それはわかるけど。。で。。(3)アコーディオン効果って何?(・・)
コチラ、本工法の非常にユニークな特徴なのですが。。。
本橋、基本はRC橋なので橋長手方向にプレストレスを入れるのですが、そのとき、ウェブである波型鋼板が、まさに波型であることでアコーディオンのように縮みます。
それにより、余計な力がウェブ=波型鋼板に入らない、ということです。
入れたいプレストレスがウェブに逃げず、フランジのRC板のみに望むように入る、というワケです。
↑上図で示す曲げ、軸力が、アコーディオン効果=縮んでしまうことで伝わらないということです。
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話は変わりますがこの仕組み、異分野に目を向けると、鉄道の世界でも用いられています。
普段、通勤に使ってても気にも留めないですが、プラットホームの下、足元を覗きこむと。。電車(鉄道)の車輪にはこの"波型ウェブ"が用いられています。
波打ち車輪と言うそうです。↓下の写真が分かりやすいですね♪
電車の車輪はタテに輪切りにするとちょうどH鋼のようなカタチをしています(上中)。
同図で中央を横切るのは車軸です。
この車輪の外周、レールに乗るところはまさにH鋼と同じ、「フランジ」と言うそうです。
そのフランジと車軸の間、H鋼のウェブに当たる部分(=輪心と言う)が波板状になっています(上右)。
波状にするその理由は、橋の場合と同じ。
板厚を薄くしても座屈耐力が上がり経済的だからです。
この車輪は圧延にて作られるとのこと。
想像するに金型を作っといてそこに溶けた鉄を流し込んでプレスするのでしょう。
このような複雑な金型は高価な気がします
それならば多少ウェブが厚くなってもフラットなウェブの方がカンタンで安いのでは。。?(**)
しかし現況、この車輪が普及していることを考えると。。。。
おそらく金型が複雑で高価でも、ひとつ作っとけば、あとは何百回もプレスして車輪が作れますから。。
結果的にはやはり本工法:波板の方が薄くて安く付くのでしょう。
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本工法。。理屈では分かっても。。。
実現までは理論構築や実験など、なみなみならぬ努力が必要だったことでしょう(*O*)
ウェブにウェーブ=波を使うとはねえ。。。(^_-)--☆
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オヤジギャクが見事2つも決まったところで。。最後にオマケ。
1.波=WAVE ウェーブという英語のつづりは、それ自体が波のカタチを表しているように見えますね。偶然でしょうか~(*o*)
↓海外の、とある"WAVE"と言う名の会社のロゴ
2.ブラジル、ボサノバの父、アントニオ・カルロス・ジョビンによる、その名もwaveという曲。
カフェなどでBGMとしておなじみ。
海辺、波打ち際にいるかのようにリラックスできます♪
3.↓コチラはジャズ・ジャイアント: マッコイ・タイナーのWAVE。上記ジョビンをタイナー流に「翻訳」したもの。
上記のジョビンはリラックスした、波打ち際でチャプチャプ、ってカンジですが、コチラは荒波打ち荒れる「ザ・冬の日本海」、さらわれたら死ぬで~(*O*)みたいな、激しいもの。私のお気に入り♪
コレが弾けるようになりたい(°_°) (遠い目)
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