「フルトン・センター」はニューヨークの複数の地下鉄駅の乗り換え、出入り口となる施設です
最大の特徴は"オキュラス(Oculus)"などと呼ばれる天窓。
「スカイ・レフレクター・ネット(空を反射するネット)」とも呼ばれるそうです
暗い地下から出てきた人々へ明るい光を落とす"光の筒"です。
その"光の筒"は鼓、あるいはHP曲面のような形をしています。
ケーブルネットにより作られたものです。
以下の写真は後続のyoutubeよりの施工風景。
ケーブルネットが吊り上げられたところ。
これにひし型の、アルミパネル約1000枚!が取り付けられています。
(当たり前ですが。。手作業で。1個1個ボルト締めしながら。)
穴あきのアルミパネルは光の反射板としての役割。
↑取り付け部の十字型金物。
ひし型のパネルはその頂部を十字金物で吊られています。残り3頂点はルーズホールとなっており、過大な力が入らないようにするとともに、ケーブルネットの変形に追従するようになっています。
つまりパネルは単なる仕上げ材であり、力を負担するのはケーブルネットのみ、ということです。
施工風景のyoutube
設計はニコラスグリムショー率いるグリムショーアーキテクツ。
構造はアラップ。なおシュライヒ・バーガーマンが施工アドバイスをしているようです
また基本デザイン、アイデアは"ガラスの魔術師"とも言える、ガラスデザイナー:ジェームスカーペンター氏。websiteはこちら
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ケーブルネットは作用する力に応じて形が変わり、設計するのは非常にタイヘンです。
コンクリートなどの部材は、力が掛かってもその形は変わらない、という仮定のもと解析が行われますがケーブルはそういうわけにはいきません。
これを「幾何学的非線形」と言います
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私事ですが、先日、このケーブルネットの設計担当氏(NYのアラップ)の論文発表を聞く機会がありました。
氏によると、荷重状態が数百!あったのだが、それをexcelのマクロを組んでやった、とのことでした。
ケーブルネットは外界とは遮断されているため通常の建築のような風荷重などは掛かりません。
このため主な設計荷重としては、施設内部の空調=外気の吸気、館内空気の排気に伴って起こる館内空気流による圧力、および空調の結果として起こる温度差による温度荷重、とのこと。
暗い地下鉄の駅からエスカレーターを登ってきたら光の洪水!
まぶしいっ!(*O*)
言ってみれば当たり前の構成なのかもしれませんが、
建築的には「チョー鉄板」の方法かもしれません
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