LA CANOPEE(ラ・カノペ)はパリ中心部、レアール駅の出口に掛けられた巨大な庇。
CANOPEE(カノペ)は英語でCANOPYキャノピー、つまり庇のことです。
約10,000㎡=1ヘクタールが、柱ナシの無柱空間!となっています。
建築設計は仏のPATRICK BERGER氏ら。
構造設計は仏組織事務所INGEROP(アンジェロップ)が担当しています。
上写真中央、野球のホームベースみたいなのがそれ。
地下鉄駅LES HALLS レ・アール駅はルーブル美術館とポンピドーセンター(上写真上方)に挟まれた位置にある駅で、1日約100万人が利用する、パリでも最も混雑する駅の1つ。
地下5階に地下鉄、同4階は乗り換えゾーン、同3階より上は商業施設となった構成。
これをその3階レベルまで掘り上げてオープンスペースにし、それの上に屋根をかけようというもの。
その掘り上げられた部分はその様子から「クレーター」と名付けられました(下写真)
屋根の計画において重要となったポイントは。。
・「クレーター」に自然光を落とすこと
・同時にクレーターを雨から守ること
・火災時の排煙のため屋根にその通り道があること
上の条件はよく考えると矛盾しています
雨から守る、とは屋根でクローズすることであるのに対し、他の条件は屋根がオープンであることを求めています
さらにはその庇はそれが乗る既存建物にいかなる水平力も掛けてはいけない、つまり自己完結した構造体の必要がありました
これらから設計者たちが選んだのは
"VENTELLE"(ヴォンテル)と名付けた、スパン約100m!の曲がった梁でした
この梁、正面から見ると上記のようなレンズ型、いわゆる単純梁のようになっています
これより周辺構造に水平力を掛けずに済みます。
しかしこの梁、別の角度から見ると。。
このような複雑な形となっています
上弦材(上図右)は平面的つまりヨコ方向にカーブしており、下弦材(同左)は立面的=タテ方向にカーブしています。
この梁を次々に並べることで、下から見上げると梁がオーバーラップしていることで雨をしのぎ、同時に梁と梁の間は開いていることから火災時の排煙をすることができます
上弦材と下弦材はストラット(束)で結ばれ、ここにガラス屋根が載せられています(下写真)。
さらにそれぞれのヴォンテルもつなぎ材で一体的につながれています
ヴォンテルの両端はホームベース型の受け梁に載せられます
なおヴォンテルとは元々、下図のような換気用の多数の羽根のことです。
ブラインドの羽根と言った方がわかりやすいでしょうか。
施工時の様子。屋根は総足場にて架けられました
完成後のエントランス付近
↓上図と反対側のエントランス。
無数の人。朝の出勤時でしょうか(**)
それともオープニングセレモニーかな
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日本ではこのような「大庇」は余り見ないような気がします。気のせいでしょうか
言ってみれば渋谷のスクランブル交差点に巨大な庇を架けるようなもんでしょうか。。(・◇・)
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