L.ロバートソン氏の本

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ニューヨークの旧ワールトトレードセンターの構造設計で知られるロバートソン氏の本が出版されています。(洋書。画像クリックでアマゾンへ)

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Leslie Earl Robertson レスリー・アール・ロバートソン氏(写真はHPより)はニューヨークを拠点に活躍するアメリカの構造設計家。HPはコチラ

特に今はなきNYの旧ワールトトレードセンターの構造設計で知られています。

"The Sructure of Desgin" 「デザインの構造」と名付けられた本書は、同氏のほぼ初めての包括的な作品集です。

書中の前書きで同氏は
「今まで何度も本の執筆の声を掛けられたがそのたびに断り続けた。しかし、若い建築家やエンジニアが私の経験から何か楽しみ、喜びを見つけられるなら、と思い、その心を変えた。」 
と述べています。


表紙を飾るのは当サイトでも取り上げた日本のMiho Museumミホ・ミュージアムのケーブルステイ橋(コチラ)。しかし本例は例外。「私は建築の構造設計家だ」と。橋はほとんど設計していません。


氏の業績で目立つのが超高層。前述のWTCを筆頭に、(下記左から)教科書に必ず出て来るフィリップジョンソンのNY,AT&Tビルやイオ・ミン・ペイ氏との香港の中国銀行、そして上海のワールトトレードセンターなど。

att2.png BOC.png WTCCH.png



またコチラは2015にNHKで放送された「ネクストWORLD」というシリーズ(コチラ参照)で検討した東京湾に浮かぶ超高層のアイデア。コチラの構造監修を担当。写真はロバートソン氏HPより

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Mr.Skyscraper  ミスター・スカイスクレイパーと言っても過言ではありません。

なお、NY旧WTCの設計に着手した時は若干34歳だったとのこと!
しかもそれまで最高で20階建てまでしかやったことなかったのにいきなり100階オーバーの担当に! すごい度胸です

またよく知られた別の作品がコチラ。アメリカ、ミネアポリス連邦準備銀行

minpls1.jpg minpls2.pngのサムネール画像

建物両側の頂部から放物線状に吊材を渡し、これに建物全荷重を掛けることで1階にフリースペースを作っているもの。
左側の写真から1Fが空いているのが分かります。

なお本ビル、現在は連邦銀行(=政府)から民間の不動産会社に売却され、その結果1Fにはカフェなどの店舗が入っており、それによりオープンスペースだったエリアは間仕切り壁で塞がれ、ロバートソン氏の苦労が水の泡に!
「オレの苦労が。。意味ないじゃん!」
         。。。と激おこプンプン丸とのこと(^^;)

まあ建物は持ち主のためのもの。嫁に出した娘のように、設計者の手を離れてしまったらどうなっても文句言えませんが。。。

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次の例。
コチラはスペイン、マドリッドに立つPuerta de Europaプエルタ・デ・エウロパ。ヨーロッパの門の意味。
見ての通り、2つのタワーが傾いて門のように向き合っている状態。
フィリップジョンソンのデザイン。


pertaeuropa.jpg


傾いてたら倒れるじゃん!と思いますがロバートソン氏がカンタンなスケッチでそれを否定します。

下図の左のような状態を考えて、これがCの真下で支えられているとすると。。これは右図のように両サイドにA,Dの同じ重量が掛かっているだけなので安定しています。


KIOTWER.bmp


なろほど!ナットク! パッと見では分からんかった!
見た目に騙された感じです。
パソコンばっかりで計算していると、こういう大局的な観点は忘れがちです





さて本の方ですが、A4程度のサイズですが厚さ3cm!のブ厚い本。

協働した建築家:ミノルヤマサキ、フィリップジョンソン、イオ・ミン・ペイなどごとに作品に触れています。
またミホ・ミュージアムなど日本の作品も数例。

崩壊したWTCについては特にページを割いてます。
自分が設計したビルが壊れていく様子をTVで生中継されたらどんな気分でしょうか。。

当サイトで以前紹介したシティコープタワーに関してはロバートソン氏はピアーチェック=ルメジャー氏の設計を照査する役割を担当しており、高ストレスで眠れぬ夜の日々となったとのこと。

文章多めですが写真、図解もふんだんにありますので心配なく。



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その小さな決断が、未来のアナタを作ります
(セールス文句。都合良すぎ(^^;)

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