コペンハーゲンの 可動橋 Lille Langebro swing bridge
デンマーク、コペンハーゲンの可動橋(上写真の下側)。
コペンハーゲンCOPENHAGENの、橋げたがオープンする橋です。
コペンハーゲンでは擦り切れるほど使われているであろうダジャレです(^^)v。
名前の"LANGEBRO"はデンマーク語で「長い橋=LONG BRIDGE」を意味します。
可動橋は跳ね上げ式の場合はBASCULE BRIDGE(バスクル)とも呼ばれます。
しかし本橋は平面的に回転するもので、これらはSWINGスイング BRIDGEと呼ばれます
設計は橋梁デザインも行うイギリスの建築事務所WILKINSON EYREウイルキンソン・アイア。
構造設計は同じくイギリスの、BURO HAPPOLDビューロ・ハッボルド。
またオランダのEADONが以下で紹介する機械機構を協力。
(上記各リンククリックで、本橋の該当ページへ。
また本稿の写真も上記リンク先より。)
本橋は自転車=サイクリスト、および歩行者専用の橋です。
床はゆるやかなカーブを描いています
床構造としては、両端にある2つの3角形鉄骨梁が長手に走り、これを主な構造体としています(下図)。
左は橋の最外端付近。右は支柱付近。
三角梁間はデッキスラブが架けられます。
この三角梁の先端は上図のように向きを変え、全体として下写真のようにエレガントなカーブを魅せています。
また支柱部では花のように開く4本のV型鉄骨柱で支持されます。
本橋で特筆すべきは以下の、革新的な接合部です
このような可動橋では、橋構造部が、元の閉じた位置に戻ったときは「ロックピン」で接合するだけ、というのが通常でした。
これに対し、本橋では、以下のような、オイルジャッキ(ダンパー)による応力軽減装置を設けています
以下の図で説明します。図は橋げたのちょうど中央の接合部(上図のCGの部分)です。
この部分にはオイルジャッキが上下各1つずつ配置されています。
橋がオープンの状態から、閉じる状態に戻ってきたときに、各ジャッキを、上ジャッキはジャッキを押す方向(下図C)、下ジャッキは引っ張る方向(下図T)に操作します。
ジャッキがない側(上図左の橋げた)は、上側は押す力=反力R(C)を受ける鋼材、下側は「C」の形になった鋼材で引張力=反力R(T)が伝達される仕組みになっています。
(下左;上側の圧縮ジャッキ受け、右;下側の引張ジャッキ受け)
引張側は短い「C」になっていることで、橋桁が平面的に回転して開くときはうまく外れるし、戻ってくっついたあともうまいこと噛み合う、という巧みな仕組みになっています。
圧縮側はペットボトルを思わせるケイタイ。
さて、上図の説明図のように、上圧縮、下引張を掛けると、これは偶力のため、橋全体としては下図のような、回転力を作用させ(赤矢印)。このことにより橋全体に緑で示すような曲げモーメントを与えることができます。
さて、橋げたが橋の自重、および歩行者荷重を受けると曲げモーメントは図のM1のように働きますが、これは上記のMoによってある程度打ち消され、M1より小さいM2のみが作用します。
このことにより橋に作用する力は減らすことができ、また同様に変形=たわみも減らすことができます。
ジャッキによって橋げたにプレストレス=初期曲げ=プレモーメントを与えている、という訳です。
また、熱応力で橋げた全体が延びた場合は、ジャッキの繰り出し(ストローク)をそのぶん減らせばよい、となります(下図)。
このように、応力を軽減し、さらには熱応力による延びも吸収できる、巧みな「モーメントコネクション」となっています。
よく考えたね~ ビックリ。
コチラ:BURO HAPPOLDによる施工時のYOUTUBE
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