レースのカ−テンのような屋根 | サンティアゴ・カラトラヴァ / トロント B C E Place: Gallery and Heritage Square / Santiago Calatrava / Toronto |
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photo: © Wilma Kwan / Galinsly.com | Tronto Dominion Centre Mies van der Rohe |
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カナダ、トロントのビジネス街に位置し、 ミース・ファン・デル・ローエの トロント・ドミニオン・センターのハス向かいに立つBCEプレイス: ギャラリー・アンド・ヘリテッジスクエア は、 白い鉄骨が光と影を織り成す「現代の大聖堂」 のようであり、 サンティアゴ・カラトラヴァの建築の中でも最も美しいもののひとつです。 |
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■概要 BCEプレイスは、2本の高層オフィスタワーおよび幾つかの中層オフィス、 足元の飲食店などの店舗街により構成されるビジネス街区です。 当街区の事業主は、この店舗部を覆うアーケード: ギャラリー及びヘリテッジスクエアの増築を計画し、 アーティスト、建築家などによる招待コンペを開くこととしました。 結果的に、コンペはカラトラバの案が優勝となりました。 ![]() ■Gallery部 白い鉄骨が印象的なギャラリー部 :いわゆるアーケード部は、両脇の既存ビルには荷重をかけない、自立構造となっています。 Gallery部はまず、通路両サイドの既存ビルに沿って支柱がわずかに傾いて立っています。 この支柱は上部で樹木のように枝分かれし、最終的には4本になります。(図1) この支柱の上には無数の鉄骨材による、極めて優美な放物線形のボールトが架かっています。 リズミカルに連続するこのボールトは、通路のまっすぐな方向性を視覚的に強力に定義しています。 (写真1) ■無数の鉄骨束によるボールト このボールトは以下により構成されています。(図2) まず最上面にはガラス屋根面があり、ここにガラスを直接支持するゆるい アーチ状の梁材(アーチ1)があります。 次にこのアーチから伸び、視覚的に優美な天井面を形成している無数の束材があります。 その下にはこの束を受けるメインアーチ(アーチ2)があり、 アーチ2下端は先ほどの枝分かれした4本の支柱の先端に乗っています。 アーチ2は2本のアーチ1の中央位置にあるため、これを結ぶ束材は断面でV型を形成し、 これにより立体的な優美な天井面を定義しています。 さらにこの束は圧縮力を受けるメインアーチの座屈止めとしても機能しています。(図3) |
![]() 図1.ギャラリーの概形 ![]() 図2.ボールトの構成 ![]() 図3: アーチ2の座屈の抵抗システム a: アーチの座屈しようとする力 |
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本ギャラリーの構造システム:タイポロジーは、カラトラヴァ初期のプロジェクト、 ウォーレン高校で実現したものをさらに発展させたものです。 (右写真) ![]() |
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■束は多すぎ? この無数の束材は、イジワルな見方をすれば、たかが屋根を支えるのにこれほどの本数は必要ではなく、 構造的には過剰だと言うこともできるでしょう。 しかし、今、得られているこの決定的な優美さを前に、
トータルな建築的観点からみれば、誰もそうは思わないでしょう。 | ||||
![]() ■Heritage Square ヘリテッジスクエアは基本的にはGalleryのシステムを応用し、これをX,Yの二方向に展開したものです。 (写真3) Gallery部が1方向システムであることで強い視覚的方向性を持つ、緊張感あふれる建築空間であるのに対し、
ヘリテッジスクエアはそのような方向性が希薄なため、ゆったりとした、
まさに森の中にいるようなリラックスした空間となっています。
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こちらのHeritage Squareのシステムは、近年のカラトラヴァのプロジェクト、 リスボン駅:オリエントステーションのプラットフォームにて 応用、発展されています。(右写真) ![]() Gallery, Heritage Squareとも、細かいピッチの鉄骨材から漏れる光はまさに
「木漏れ日」であり、上品なレースのカーテンのように、床面にデリケートな影模様を落としています。 ![]() |
オリエントステーション(リスボン駅) プラットフォーム |
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