サッカーファンの間では「聖地」と呼ばれる東京、神宮の国立競技場。
この国立競技場、この度建て替えすることが発表され、そのデザイナーが国際コンペで募集されることとなりました。
建て替えの目的は、2019年に行われるラグビーワールドカップに使用すること、そして御存知の通り、東京都が目論んでいる2020年のオリンピックのメインスタジアムとすることです。
このコンペ、ビックリするのはハンパない敷居の高さ!
参加資格は
A:以下いずれかの受賞者
・高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)
・プリツカー賞
・RIBA(英建築家協会) ゴールドメダル
・AIA (米建築家協会) ゴールドメダル
・UIA (国際建築家連合)ゴールドメダル
または
B:1.5万人以上収容のスタジアム設計経験者
となっています。
Aの該当者は世界に何人いるのでしょう? 超高飛車!マジ、パねぇ~!
日本だと審査委員長の安藤氏を除けばあとは槇文彦氏、SANAAの妹島和世氏、伊東豊雄氏くらいでしょうか。
まさにセレブ建築家たちのワールドカップ!?
ゴールドメダル=金メダルですから、建築界の金メダリストたちのオリンピック!?
Aだけだと該当者はまさに数えるほどで、ほとんどの日本の設計事務所は排除されてしまいます
これに配慮してBをつけたのでしょう。
これならゼネコンもなんとか入れます
さてそのスタジアム、開閉屋根付き、とすることが求められています。
またスポーツスタジアムとしてはもちろん、コンサート会場などとしても利用できるよう求められています
またこのコンペ、実施設計者を決めるものではなく、デザイン監修者=まさにデザイナーを決めるもの、となっています。
実施設計者は別途コンペ(プロポーザル)にて決められます。国内設計事務所となるのでしょう。
審査委員長は安藤忠雄氏。主な審査員は建築歴史家の鈴木博之氏、近年土木関係で名を馳せる内藤廣氏、そしてイギリスのツートップ、ノーマンフォスター氏とリチャードロジャース氏。
今年イギリスでオリンピックがあったので入れたのでしょう (超ウソ。)
技術系がいないな~と思っていたら外部アドバイザーとして元東工大教授(耐震工学)の和田章氏が入っています。
応募にはまず登録が必要で(2012)9/10まで。作品の受付は9/10~9/25。急がなきゃ!
一次、二次の審査を受けて、優勝案の発表は11月下旬となっています。
コンペが発表されたのが7月でしたからかなり急なコンペです。
しかも事業費(工費)まで求められていますから(概略でしょうけど)かなりキッツイ気がします
日本国内のスタジアムは、2002の日韓共催サッカーW杯時に各地にあらかた作られてしまいました。
もう国内の大型スタジアムはないだろう、もしあれば国立だけだ、と言われていましたから正に最後の超大物、真打ち登場!
国立競技場が建てられたのは1964の東京オリンピック以前。
サッカーのFIFA規定ではそのスタジアムには客席の7割ほどに屋根がかかっていることが求められますが、コレに適合させるために2年ほど前から、追加で屋根をかけるだのの話がチラホラ出てはいました。
しかし全面建て替え、しかも国際コンペとゎ!かなり思い切った方向です。
関連として開閉屋根付きスタジアムをご紹介。
こちらは今は亡き黒川紀章氏デザインの大分スタジアム:ビッグアイ。
中央の鉄骨のレールの上を可動部屋根が覆いかぶさる構成となっています。
2002年のW杯を機に建設。竹中工務店が設計協力。国内の開閉屋根サッカースタジアムはこれだけだったような気がします。
もうひとつ、ドイツ、フランクフルトスタジアム。
中央膜屋根が開閉する仕組み。構造設計はシュライヒバーガーマン。
なでしこジャパンが2011 W杯の決勝で優勝したスタジアムですね。
膜は中央のTV boxの中に折り畳まれます。
折りたたみの設計にあたって、ベンツ車(BMWだったかな?)のハンドルに収められているエアバッグの折りたたみ技術を参考にしたそう。
ビッグアイタイプ(ソリッド系)、フランクフルトタイプ(ソフト系、)、一長一短がありますが、コンサート会場とするとなるとソフト系では音がダダ漏れとなってしまいますから不利かも。
東京を舞台としたスター建築家:starchitectたちのワールドカップ。
当選案の発表は年末の建築界を彩るビッグニュースとなるでしょう。
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