私達が住む日本。
狭い国土に1億2千万の人、2億4千万の瞳(古っ)が、今日も生活しています。
そんな狭い日本ですが、地方に行けば、その地方にしか通じない方言があります。
また海外に出れば、一言に英語と言っても、スラングのように、他国では通じない表現があります。
これと似たように、学問、産業の分野にも、その分野独特の表現があるものです。
ここでは、そんな、「それってどういう意味?」ってな構造設計界のスラングをご紹介。
構造設計界のスラング。「食べ物編」としてご紹介します
かつての子供向けヒット曲でまとめてみました。
■ だんご3兄弟?
建物は、当たり前ではありますが、地震に対して安全な構造物である必要があります。
そのために様々な検討を行います。
その一つに「振動解析」と呼ばれるものがあります
「振動解析」とはカンタンに言えば、建物が地震の力を受けた時にどのような振る舞いをするかを調べるものです
オフィスやマンションなどいわゆるビル物を振動解析するときは、以下のような方法で行われます。
上図で左の建物の赤で囲った部分、つまりある階の床、壁などの重量を、ひとつの丸=質量(重量)に置き換えます。そしてそれらを、建物の揺れの堅さと同じ性能を持つ柱材でつなぎます。
この構造モデルに地震の力をかけて、地震に対してどのような振る舞いをするかを検討します
この構造モデルはいくつも質点=質量の点があることから「多質点系」と呼ばれます。
非常にカンタンに計算できることから、構造解析では非常に重宝されています。
この多質点系の構造モデル、その形状から通称「くしダンゴ」と呼びます。
なんだかおいしそうですね。
建築構造をやっている人に「串ダンゴ」と言えば、ほぼ100%「ああアレか」と通じます。
建物を地震から守る、というヒジョーにお固い世界に、ぷよぷよと柔らかい和菓子が登場するというのは、何ともシュールです。
■ ♪さかな・さかな・さかな~
上の写真は、床面の下をケーブルなどの引張部材で補強した形式の橋です。
この形式は日本では一般に張弦梁などと呼ばれます。
ところが海外ではその姿から「フィッシュベリー」と呼ばれます。
フィッシュベリーとはFISH BELLY=お魚の腹、という意味です。
ケーブルが垂れ下がって中央で一番膨らんでいる姿が魚のお腹(おなか)を思わせるからです。
ベリー:bellyとはお腹の意味。棒高跳びの「ベリーロール」はお腹から回る、ということです。
また果物の「実」という意味もあります。
ブルーベリー(ぶどう)、ストロベリー(いちご)のベリーがこの意味です
お腹と実。どちらも実ったもの、というカンジでしょうか。
私が以前、ある、木造関係の本を読んでいたときのこと。もともとドイツで発刊された本の日本語訳本でした。
ページをめくっているとトツゼン「魚腹梁」なる単語が!
魚腹?なななんじゃこりゃ?と思いましたが、どうやらこの「フィシュベリー」を訳したものでした。
木造の本に「魚腹」ですからかなり場違いです。
監訳者は分かった上でこう訳したのでしょうか。
それともやっぱり、「なんで魚の腹の話が出てくるんだ。。?え~い分からんからそのまま書いとったれ(><)」と思ったのか。。。
■ ♪さかな~を~食べ~ると~♪
建物のガラス壁で、下の写真のようにガラス壁の面積が大きい場合、そのガラスが風を受けた時にはらまないように鉄骨部材などで補強する必要があります。
このとき、太い鉄骨部材を使うと、せっかくのガラスの透明性が損われてしまいますから、なるべく視界を妨げない部材構成が求められます
上写真はこの例ですが、ケーブルトラスを用いたものです。
ケーブルが中央で一番膨らんで、両端ですぼまった形をしています↓
この形式は「フィッシュボーン」と呼ばれます。
fish bone=魚の骨、ということです。
お魚をキレイに食べると、骨だけが残った姿になりますね。この状態にそっくり、という訳です。
いかがだったでしょうか。
うまいことキッズ・ソングメドレーでまとまりました(2曲だけど。)
コメントを残す