シェル解析に「壇ミ●」法!?

今回も書籍を紹介します

私ごとですが、最近、構造デザインに関する本をかなり(7-8冊)買ってしまいました(><)完全にツン読。追いついていません。

そんな中から取り急ぎ1冊、今日はコチラ。

“Shell Structures for Architecture: Form Finding and Optimization “

(下写真クリックでアマゾンへ)

タイトルを訳すと「建築のためのシェル構造:形態探索と最適化」ってとこでしょうか。

シェル構造の形態創成に関するものです。

表紙は、近年注目を浴びている構造設計家:ローラン・ネイ氏によるオランダ。国立海事博物館の屋根。

16世紀の大西洋の航路図が描いたパターンをモチーフとしています

コチラのページ

さて、この、シェルなどに用いられる形態創成。最近のいわゆるハヤリのひとつで、英語の略称より”ESO”などと呼ばれます。

? ではESOとは何でしょうか。

E エッチで

S セクシーな

O   お姉さん。。

中学生のスーパーアイドル、壇蜜姉さんのこと。。?

ハァハァしてる?

  ハァハァしてる?

いいや、違います。めっちゃザンネンですが。。違います。

うおっほん。(^^;) では気を取り直して。。

ESOとはEvolutionary Structure Optimization の頭文字の略で、日本語では「遺伝(進化)的構造最適化」などと訳されます

パソコンプログラム内で作った構造モデルがどんどん進化していって、最終的にムダのない形態が生成されるさまよりそう呼ばれます。

下記はその1つの例のyoutubeで、最終的に橋の形状が生成されていくものです。

前述の「遺伝(進化)的」とは、生物の進化のように選択(交配)、淘汰などを繰り返すことで、望ましい、進化した「個体」が選ばれ、残っていくさまよりそう呼ばれます

またこの手順(プログラム)のことを遺伝的アルゴリズムと言います

構造体の形態のみならず、例えばコンクリートのセメントなどの配合の具合=配合設計にも適用できます

東大工学部建築学科卒、ワタシのスキな、菊川怜姫の卒業論文がまさにそれ。そのタイトルは

「遺伝的アルゴリズムを適用したコンクリートの要求性能型の調合設計に関する研究」

(最近あまりお目にかかれなくてザンネン(*O*)


話は変わりますが、これらの「最適化」は通常、構造体自身の自重、あるいは屋根の積載荷重など、主に下向き方向の力に対して最適な形態が求められます。

しかし出来上がった構造体はそれら以外の力をも受けます。例えば横から吹く風圧力、屋根に雪が一部分のみ積もった場合の偏分布荷重など。。

つまり、自重などに「最適化」したとしても、上記のような、それ以外の荷重にはトウゼン「最適」ではないので、場合によってはある程度の補正を行ったり、強度を上げたりの必要があるのです。構造物は色んなパターンの力に耐える必要があり、悩ましいのです。


似たような話で思い出したのが、空を飛ぶ飛行機。

飛行機の翼は、離陸、着陸の時にイチバンその役目を果たします。

離陸時はスピードも遅いため、翼で大きな揚力を生む必要があり、それにより必要な翼の面積が決まるそうです。

無事、離陸し、高度を上げて高速巡航飛行に入ったら、極端な話、翼はあんまり要らないのだそうです。

かと言って巡航時に翼をほっぽり出して地面に落とすワケにも行きません。

離陸時の「低速飛行」、及び上空での「高速飛行」という、性質の相反する状態(ステータス、モード)の両方に対処、両立させねばならないため、設計者を悩ませるのです。

しかし開発中の高速度飛行機の中には、巡航時は翼を折りたたみ、格納してしまうものもあるそうです。

下記はその一つの例で、Oblique Wing(ハス向かいの翼)と呼ばれるもので、高速巡航中は翼をナナメにして、受風面積を減らしているものです。

Oblique Wingのwikipedia(英語)

我々の世界でも似たようなものとして、耐震ブレース。これは地震が来るまでは。。全くの無用の長物です(ちょっと言い過ぎ)。

地震の時は、今こそオレの出番、とばかりにその役割を果たしてくれますが、それ以外の時は。。むしろ邪魔者です。

  なくて済むならその方がいい

しかし、かと言ってこれまたブレースを取っ払うわけには行きません。飛行機の翼と似たようなものです。

地震のない平常時と、地震の時という緊急時の、相反する2つのモード両方に対処せねばならないのです。

普段はどっか別のとこに居て、いざ地震のときだけやってきて建物を守ってくれる。。

そんな戦隊ヒーローのような耐震システムが開発されたら。。ノーベル賞も間違いないでしょう。

どなたか考案したらご一報ください


話がダイブ、ズレましたが。。今回の本。その気になる中身は。。?

カラー写真も豊富ですが、割りと文章中心。最適化のための数式(微分式)がこれでもかとばかり出てきます。

大学で同テーマを研究している方にはまさに打ってつけでしょう。

なおアマゾンの「なか見!検索」で全ページを見ることが出来ます(リンク先ページの表紙画像をクリック)

ヨーロッパなどの作品中心ですが、坂茂氏の寄稿や、日本でのこの分野の第一人者、佐々木睦朗氏のセクションもあります。また亡くなったイスラー氏のRCシェルの章も。

数式を読むのはあきらめて、最近ハヤリの写真集、としても読めます。


さあ。。買う?買わない。。? DOCCHI?

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