Marc Mimramの作品集

先日紹介した、Marc Mimram (マルク・ミムラム)の作品集が発売となりました

(下記画像クリックでアマゾンへ)

mimrambook


Marc Mimram (マルク・ミムラム)氏はフランスのArchitect – Engineer アーキテクトエンジニアで、デザイン、構造の両方のセンスを持つ、世界でも数少ない建築家。

1999年の、パリ、セーヌ川に完成したソルフェリーノ橋で知られるようになりました。

marc.jpg

そんな氏の、包括的な作品集が発売となりました。

建築と、橋梁が半々の、興味深い作品集です。


かいつまんで幾つかご紹介。 写真はコチラのオフィシャルサイトより。

まず1つ目は最近、コンペで獲得した、フランス、モンペリエのTGV駅。

下図、屋根の盛り上がっている5つの長方形ユニットが、(ユニットの)4隅だけで柱で支持されており、シェル的ユニットとなっています。

montpellier1.jpg

プラットホームから。ダイナミックなCGです

montpellierquai3.jpg
montpellier6.jpg

屋根はカーボンファイバー補強のコンクリート製のV形折板が短辺方向に並べられ、それらを接合して一枚の長方形のシェル状屋根ユニットが作られるというもの。

屋根の開口の開け方:長方形開口がイマドキのデジタル的表現な気がします

montpellier5.jpg

↑中央断面図。シェルはV型梁を並べたものであることが分かります

montpellier2.jpg

エントランス部

  


次はコチラ。中国の橋で割りと前に出来たもの。mimram氏は他にも中国の仕事が多いのが特徴です。

po5-5-300x150.jpg

アーチトラスのつなぎ材=束材が板状のものになっているのが特徴です。

その形状からPETALペタル=花びらと名付けられています

コチラだとよく分かりますね♪

po5-3-699x550.jpg

ファイバーグラス補強コンクリート製で、照明を反射する板=レフ板としても働くとのこと。

(上写真がその様子)

REF-PANEL.jpg

   レフ板、もっと寄せて!

 モデルさんの魅力、もっと引き出して! (^^;)

 


ちなみにミムラム氏はよくこのように束材をデザイン要素にします。

ではこの束材の本来の役割、本質は何でしょうか。

それは。。。トラスの上弦材、下弦材の距離をキープすることです。

間隔を保持すること。このことからDEVIATORデヴィエーター,

SPREADERスプレッダーとも呼ばれます

DEVIATOR:偏差材: 部材の位置をズラすこと。ここでは上、下弦の位置をくっつかないようにズラすということ。

SPREADER:拡張材:広げる材。上、下弦の間隔を広げる、ということ

TUKA2.jpg

上下のアーチがくっつきすぎず、また離れもせず、適切な距離:Hを保つための材、ということです。

tokyoforum.jpg

巨大な鉄骨で知られる東京フォーラム。これの「あばら骨」はまさにこの役目。建物長手に走るアーチと、下端のケーブルがくっつかないように位置を保持するためのものです。

本サイトのこちらのページで詳しく解説しました。

 


別の「スプレッダー」の例

二人が「くっついて」しまわないように睨みを利かすママ

579.JPG

こちらも別の例

バケツやトンネルの両側がくっつかないように広げているもの   (^^;)

conan.png

↑の結末(youtube)

    


さて。。一旦リラックスしてもらったところで。。(^^;)

話を元に戻して、他のミムラム氏の、束材をデザイン要素とした橋。これも中国。

po4-1-413x550.jpg

短手にかかるアーチは束材としての役割。

po4-2-868x550.jpg

こちらはシングルアーチの橋。

po3-1-879x550.jpg

構成を示す分解図。アーチを束ねる「束材」は星のような3角形をしています(クリックで拡大)

po3-6-1080x540.jpg

こちらの断面図だと分かりやすいでしょうか

po3-5-1080x415.jpg

「束材をデザイン」なんて、フツーは考えません。

人が目をつけない所に目をつける。。。。

デザイン、及び商売の鉄則ですね♪


Tags:


Comments

“Marc Mimramの作品集” への1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です