ニュー・ミレニアムに羽ばたく三枚の「帆」 | リチャード・マイヤー / ガイ・ノーデンセン、アラップ / ローマ Jubilee Church / Richard Meier / Guy Nordensen, Arup / Rome |
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休みを取って旅行したい? だったらローマなんてどうでしょう?
なぜならローマにはリチャード・マイヤーのジュビリー教会がありますから!
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■ 3枚のシェル ローマの空に誇らしげに輝く3枚の白いシェル。これは同一半径の球から切り取られた形状で半径はいずれも同じ。 シドニー・オペラハウスも同様の手法です。 シェルは厚さ約80cm、3m×2mのプレキャストコンクリートのユニット(ブロック)を
積み上げることで構成されています。 このようにブロックを積み上げて構造を作っていく方法は、コロッセオを作り、また プレキャストの偉大な先駆者ピエール・ルイジ・ネルヴィを生んだイタリア人にとっては慣れたものでした。 シェルは風などの外力に対して、当然ながら柱梁などの助けなしで、シェル自身で自立、抵抗しています。 これはシェルが「曲がっている」ということで荷重への抵抗力を持っているからです。 例えば図3のようにシェルに風圧力が作用すると、シェルは倒れようとします。 しかし、シェルは曲がっていることから構造的なせい=深さを持ち、引張力、 圧縮力をその部材面内に発生させます。 これにより面外モーメントを生じることなく、効率的に荷重に抵抗することが出来ます |
図3.シェルの横力への抵抗 W:風などの横力 |
■ ナナメのアーチで屋根を支持 一番内側のシェルと鉛直の壁の間の斜めのガラス屋根は吊材とアーチの、 ちょっと変わった方法により支持されています。 屋根ガラスはT型断面のアルミ受け材に載っていますが、 その中央を細い吊り材で吊り上げられています。 吊り材は受け材=ガラス境ごとに設けられていますが、 この吊り材の引張力成分に釣合うように圧縮力が発生します。 コレに対してはガラスごとに圧縮材を設けるのではなく、斜めガラスぞいにアーチを配し、 圧縮力を渡しています。 これにより圧縮力はアーチに伝達され、最終的にアーチ端部のみに全圧縮力が渡されます。 ■ 「白」より白く! リチャード・マイヤーは白にこだわる建築家として知られています。
本プロジェクトでも同様です。 ■ 神聖な空間 「聖三位一体」を暗示する「3」枚のシェルと、神聖な空間を美しく照らす、ガラストップライトから 漏れる光。。。 マイヤーは建築家の力量が最も問われる「教会」を、 ニューミレニアムに、しかも聖地ローマで見事に「船出」させたと言えるでしょう。 |
図1.トップライトのアーチによる支持
A:アーチ S:吊り材 |
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'05/09/28 upload |