バックステイのエレガントなカーブ | サンティアゴ・カラトラヴァ / マンチェスター Trinity Bridge / Santiago Calatrava / Manchester |
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イギリスのマンチェスター市とサルフォード市の間の小さな川に架かる歩道橋: トリニティ・ブリッジは、 傾斜した支柱と、ねじれ面を描くバックステイケーブルを持ち、 小規模ながらも極めてエレガントなものです。 |
■彫刻的な傾斜支柱 本橋でまず大きく目を引くのは、彫刻的優美さで立ち上がる真っ白な斜め支柱です。 川の片岸:サルフォード側に60°の角度で傾斜して立つ、テーパー付き柱が歩行面を吊っています。 一般的な直立した柱が、美的観点からは静的、安定的であるのに対し、 傾斜支柱はダイナミックな、動きを感じさせる形態である特徴を持っています。 歩道部はマンチェスター側のメインスパン部が直線であるのに対し、サルフォード側は2つのカーブに分かれ、
全体はY字型、あるいは「人」の字型の平面になっています。支柱はこの3叉(さ)の交点に立っています。(図1),
(photo gallery) ■吊りケーブル:エレガントなバックステイケーブル 吊りケーブルは、メインスパン部は斜めに支柱に向かって一直線に伸びています。 橋の上を支柱方向に歩いてくると、ケーブルが織り成す このねじれ面は見る角度に応じて時々刻々と変化し、ドラマティックな幾何模様を楽しむことが出来ます。 |
図1.全体の構成 a: 斜め支柱 |
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■スロープ部は片面吊り サルフォード側のカーブしたスロープ部は、吊りケーブルはスロープの外側片面のみを吊り上げています。 (写真4) 吊橋の吊りケーブルは、一般には路面の両側を吊り上げるか、中央を一本で吊り上げるのが通常のため (図2)、 この吊り方は不安定に感じられますが、 実際には次のようになります (図3)。 まずスロープ部はカーブになっているため、外側に倒れ(ねじれ)ようとします。 (M1) しかしバックステイが桁の外側を吊り上げることで、逆にこれを引き上げようとします。 (T) これにより倒れ力は打ち消されることになり(M2) 、桁全体としては安定を保つことができます。 ■シンプルながら優美 最近のカラトラヴァの特徴は、本橋に見られるように、 構成が非常にシンプルながらも彫刻的優美さを持っていることです。 また、その優美さ、シンプルさを損なわないよう、部材ディテール、 例えば吊りケーブルと支柱取り合いなどは、邪魔な ボルトやガセットプレートなどが飛び出さないよう、 丁寧にデザインされています。 (写真3) |
図2. 吊橋(斜張橋)の通常の吊り方 A: 橋面の両側を2本で吊る 図3: カーブしたスロープ部の、
M1: スロープ路面はカーブしていることから、外側へ倒れ(ねじれ)ようとする |
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関連リンク 個人によるマンチェスター市の紹介のページ。 このページによると、マンチェスターにはトリニティ橋以外にも以下の、いずれも特徴ある橋があり、 最先端の橋梁デザインを一挙に見ることができる特異な街となっているようです。 ( )は設計者 ・マーチャント橋(ウイットビィ・アンド・バード)
・サルフォード埠頭リフト橋(W・ミドルトン) ・ハルム橋(クリス・ウィルキンソン) |
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'08/03/06 更新 |
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