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ここでは、本サイトのテーマ:構造デザインに関連するちょっとしたニュース、

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06/09/30

WTC跡地:ニューヨークの新しいスカイラインが明らかに(WTC公式サイトより)

9.11の悲劇から5年。崩壊したニューヨークのワールドトレードセンター 跡地に立つことになる超高層のデザインが公開されました。世界のトップアーキテクトたちが摩天楼デザインの腕を競っています。
こちらのビデオ(超リアルなCG!)で全容が分かります



一番分かりやすいデザインなのはノーマンフォスター(右)。 四ツ葉のクローバーを思わせるトップのデザイン。 ひし形の一番低い方向が元のツインタワーの位置:グラウンドゼロを指しています。

←X型のブレースが特徴なのはリチャード・ロジャース。コーナーには4本のアンテナが天を突いています。

イギリスの建築界の両雄が、世界の中心NYで、となり同士でデザインを競うというのは非常に興味深いことです。


その横に立つのは日本の槇文彦氏のタワー。 ガラスによる、繊細、上品な表情。
「コンセプトはクール、ミリマリストデザイン」と槇氏。


そして最高の高さ:541mを誇るのがフリーダムタワー。コーナーが3角形状にそぎ落とされているのが特徴。

最下階平面は旧WTCと同じ200m角。建物中央では正8角形となり、最上階では45度振れた200m角に戻ります。

設計は当地の事業主ラリ−・シルバースタイン氏が指名したアメリカのデビッド・チャイルズ氏および米大手設計会社SOM 。
ラリー氏は9.11のたった6週間前に当地の向こう99年!の借地権を契約したとのこと。

これらのデザインをまとめたのはマスターアーキテクトのダニエル・リベスキンド氏。各氏とコミュニケートし、 それぞれのタワーが調和するよう努めたとのこと。


世界を震撼させた悲劇の地に立つタワーですから、構造はもとより、 セキュリティ、テロ対策その他、まさに世界最先端のものが導入されることでしょう。
飛行機の衝突荷重も考慮されているのでしょうか。。(不謹慎?)
来春着工、完成は2012年の予定。

またタワー足元のランドスケープデザインはピーターウォーカー、  ロジャース、フォスター棟の足元の間に白い花が咲いたような 地下鉄駅をカラトラバ が担当しています

06/09/22

北京オリンピックの競技場が順調に施工中

2008に開催予定の北京オリンピックの競技場が順調に工事を進めています。


まずはその外観からの"Bird's nest=鳥の巣"と呼ばれているメインスタジアム。 開会式の会場となります。
設計はヘルツォーク&デ・ムーロンとアラップ

いったいどういう幾何学で定義されているのか、パッと見では理解不能です。 図面を書くのはいくらCADでもタイヘンだったことでしょう。 セシルバルモンド氏が関わっています。

こちらの写真のように既に屋根鉄骨は完成し、架設サポートが撤去されたと伝えられています。        こちらの アラップのサイトもご参考に(英語)。



もうひとつは上記スタジアムのすぐ脇に立つ 屋内プール。 こちらは"Water Cube = 水の立方体"と呼ばれています。
設計はPTWアーキテクツと、またもやアラップ。  

シャボン玉を連想させる幾何模様となっており、その実態は、棒材とノード(接点材)による、一種の立体トラス。 それらは全て現場溶接!で接合され、ボルトはナシ!とのこと。  表面はETFEの青いクッション材で覆われる予定です  

アラップのサイトの記事     9/26追記 こちらのサイトもどうぞ


前回のアテネオリンピックのときは、本当にギリギリまで!工事をしていましたが、 今回はその心配はなさそうです。

北京オリンピックは近未来的な建築が特徴の、現代建築の祭典となるでしょう。

06/08/15

"Mr.Bridge" カラトラバのイスラエル、アテネでの近作

今や橋のデザインをさせたら世界で右に出るものはいない?ミスター・ブリッジ とも言えるサンティアゴ・カラトラーバ。

ご紹介する掲示板サイトには、氏の、中東イスラエル およびオリンピックスタジアムをデザインしたアテネでの橋の写真が掲載されています。


まず上2つはイスラエル。

最初はテルアビブそばの都市ペタ・ティクバにかかる歩道橋で、 本サイトで取り上げたイギリスのトリニティブリッジ と良く似た構成。

路面はY字型の平面をしており、その3本の交点に中央で折れ曲がる支柱が立っています。

カーブした路面を支持するバックステイケーブルは、トリニティ橋と同じカラトラバお得意の、ねじれた反転配置。

路面は、桁となる白いパイプが路面片側についており、そこから片持ちの鉄骨梁が飛び出ています。 パイプはねじれ力に抵抗するトルションチューブ※として働きます。

一般的には桁梁は路面中央にすることが多いのですが、 最近のカラトラバはもっぱらこの方法です。

こちらのサイトに施工時の写真(スライドショー)があります

※トルションチューブ: ねじり力=トルションに抵抗する部材、ねじり力伝達材。


次は聖地、 エルサレムに立つ橋。現在同国ではトラム(路面電車)の新設工事が進行中であり、本橋はこのためのものです。

敷地は市街への入り口となる、歴史的にかなり重要な位置にあり、1つのランドマークとなることが期待されています。

さてこちらの橋、トラム路面(歩道付き)は平面的にアーチ状にカーブしており、 この中央に強烈にシンボリックな、真ん中で折れ曲がる支柱が天を突くように立っています。
モデルのように美しい女性が腰を曲げて立っているかのようです。

吊りケーブルはアーチ路面の内側のみを吊っており、こちらもねじれた反転配置。

支柱の倒れを抑えるために「腰」の部分から前方へステイケーブルで引っ張っています(バックステイでなくフロントステイ?)

特徴をまとめると、「斜張橋:アーチ型路面反転ケーブル片面吊り、中折れ支柱フロントステイ付き、モデル風」といった カンジでしょうか。(なんかの料理の名前みたいです)

施主であるイスラエル市の担当者は「世界で最も美しい橋のひとつになるだろう」と豪語していますが、 あながちウソでもなさそう。

カラトラバ自身は「今まで世界中に橋を設計してきたが、今回ほど誇らしいものはない」と語っています。    完成予定は2008年。総工費約35億円!

こちらも: イスラエルの地方紙の記事   こちらのサイトも。



最後はアテネの歩道橋。オリンピックのときについでに依頼されたもののようです。

氏の出生作: アラミーリョ橋のマスト(支柱)をアーチ状に曲げ、バックステイで真下に引っ張ったような形態。

マストのカーブにより、アーチ効果でマスト曲げモーメントが減少し、 効率断面とできる特徴があります。
バックステイが、ステイ本来の役割:マストの転倒防止と、アーチスラスト処理のアーチタイとしての役割を兼用しているのです。
アーチを縦(鉛直)に使うとは、ある意味「目からウロコ」です。

吊りケーブルは橋げたを片面吊り。よって橋げたはトルションチューブ。
「縦アーチマスト、バックステイ付き、けた片面吊り、アラミーリョ風」?



橋梁デザインでは、純粋な「橋梁技術」ではドイツのヨルグシュライヒ氏も引けを取りませんが、 「芸術点」まで考えると、彫刻家でもあるカラトラバの方が勝るようです。

05/8/07

土木学会の景観デザインコンペ:「景観開花。」が募集中

土木学会などによる、毎年恒例の景観デザインコンペ:景観開花 が開催、募集されています。

今年のテーマは「川」。河川と関わりのある構造物、空間構成の提案が期待されています。

参加資格は学生、または経験5年以下の社会人。

エントリーは既に受付開始(9/24まで)、案の提出締め切りは10/11となっています

川というと真っ先に思い浮かぶのは橋、ダム、などでしょうか。しかしこれだと発想が貧困ですね。 もう少し頭をひねると例えば川の真ん中に花火を見るだけのための浮島を作るとか。。?柔軟な発想が求められます。



06/07/28

新東京タワーのデザインに安藤忠雄氏ら

以前より話題であった新東京タワー:すみだタワーの設計者が決定しました。

デザインの監修者にいまや日本一著名な建築家:安藤忠雄氏と 彫刻家の澄川喜一氏、実施部隊となる基本設計者に日建設計が選ばれています。

ご存知のように、本タワーは現在の東京タワーに代わる、地上デジタル放送用の電波塔で、 その高さは地上610m!となる予定であり、完成すればカナダのCNタワーを抜いて世界一の高さの自立構造物となります。

現在のパースの案はまだ仮の案であり、今年の年末に上記設計者で基本案が発表される予定です。

安藤忠雄氏は表参道ヒルズなど、今やOLさんでさえその名を知る建築家ですが、 タワーのような構造優先の建築とはこれまであまりなじみがなく、どのように腕を振るうかが注目されます。

また地上610mと、世界一の高さともなると、耐震、耐風など、構造で全て決まるような世界ですが、 是非とも世界に誇れるようなデザインのものになることが期待されます。


関連として、デザインに個性のあるタワーを紹介します。

左はカラトラバのモンジュイックタワー。良し悪しは別として、これほど個性的なタワーは他にないでしょう。

タワーは、あらゆる方向から風を受けますから、普通、平面形は三角形、円形などの点対称になりますが、そんなの関係ないよ、とでも言わんばかりです。

もうひとつはN.フォスターのバルセロナタワー。タワー中ほどのみに床面があり、 その下端を三方にケーブルで引っ張ってアンカーしています。

このケーブルアンカー方式は近年のタワー設計の大きな流れであり、すみだタワーもこうなるかもしれません。(新東京タワーの応募案にもあった)
アラップジャパンによるこちらのドコモ関西のタワーも 同じ形式のタワーです。


そういえば今日(7/29)は恒例の隅田川花火大会の日。すみだタワーが完成すれば、その展望台は 文字通り「最高」の、特等席となるのでしょうか。


関連リンク:いわゆる「のっぽ比べ」サイト Great Towers   Skyscraperpage.com

関連記事:topics:'05/03/16新東京タワーの誘致が大詰め

06/05/27

サッカー ワールドカップのスタジアム屋根 :シュライヒ氏の「超」一人勝ち!

いよいよ6/9に開幕するドイツでのサッカーワールドカップ。我がジーコジャパンの活躍ぶりが期待されますが、 我々建築関係者のもうひとつの楽しみは、そのスタジアムの屋根構造!

W杯スタジアムは観客席の大部分を屋根で覆うようFIFAで定められていますから、その設計には当国の構造技術者が 威信をかけて腕を振るいます。2002の日韓共催時のことが思い出されます。


さて、ご紹介するサイトでは今回の会場となる12のスタジアムが写真も豊富に紹介されています。

建築的に一番興味を引くのはプラダビル の設計をしたヘルツォーク&デ・ムーロン設計によるミュンヘンの アリアンツ・アリーナ(右上写真)でしょうか。 繭のような膜で覆われ、赤、青色に妖しく発光する仕組みになっています。


残るスタジアムの大部分は屋根が膜屋根となっているのですが、 これらのうちなんと約半分!を構造設計したのが 本サイトでも度々紹介しているヨルグシュライヒ氏の事務所シュライヒ&バーガーマン

決勝戦会場となるベルリンをはじめ、フランクフルト、コローヌ、ハンブルグ、シュツットガルトのなんと5つ! 他の構造事務所からブーイングの嵐が出そうです。独占禁止法に引っかからないのでしょうか。?^^)

氏の設計のものは大半がケーブルをぐるっとリング状に設けて構成するループリング構造となっています。 非常に高級な構造(日本には実現作ナシ)で、シュライヒ氏ならではの構造ともいえます。

W杯観戦の折にはこれらの屋根にもゼヒご注目を。

もっと詳しく知りたい方はこんな本もあります→

こちらのシュライヒ氏の本もおススメ!



なお、本W杯に合わせて ベルリンの中央駅:Lehrter Bahnhof が完成しています (こちらのサイトも) 。 なんと、こちらもシュライヒ氏設計!センセーやりすぎ!^^)

シュライヒ氏のサイト でこれらの写真を見ることが出来ます(project>ROOFのページを参照)

07/07 関連コンテンツ:ゴットリーブダイムラースタジアムをupload

06/02/25

ザハ・ハディッド ファエノ科学センターの構造

最近快進撃が続く、建築界のディーバ:ザハ・ハディッド
そのハディッドによる、最近完成したダイナミックな形態のファエノ科学センター(ドイツ、ウォルフスバーグ)の施工中の写真がドイツの施工会社のサイトに紹介されています。

基本の構造はRCで、彫塑的、流動的な形態が特徴。

ダイナミックな跳ね出し(キャンチ)はRCウォールガーダー(梁として働く壁)により支持、 それらの重量は1Fの「コーン」と呼ばれる逆円錐状の壁柱で伝達され、全体的に一種の壁構造のように面的に荷重が伝達される構成。

コーンにより建物は1層上げられ、これにより1Fはピロティとなっています。 RCは基本的に現場打ちですが、特徴的な開口を持つ壁面部などはPC。

また添加材を混入した「セルフ・コンパクティング・コンクリート」を用いることでコン打ち時のバイブレータなしで 複雑な型枠へのコン充填を良くしたとのこと。

建物中央部の大空間部は屋根を鉄骨造とし、フィーレンディールトラスとしています。 構造設計はLondon, Adams Kara Taylor 社のHANIF KARA氏。

建物の壁、スラブなど全体が協働することで初めて成立する構造で、全体をFEMのシェル要素で構造解析。 このFEMソフトの助けがなかったらもっとコンサバティブ(保守的)な構造になっただろうとのこと。


コンペ:”ザ・ピーク”の衝撃的なドローイングでメジャーデビューしたハディッドは、 かつてはなかなか作品が実現せず、「アンビルドの女王」などとも呼ばれていましたが、 近年は幾つもの国際コンペを制し(ローマ現代美術センター、インスブルッグスキー場など7つ!) 、またプリツカー賞も獲得し、いまや最も影響力のある女性建築家です。

ウォルフスバーグはフォルクスワーゲンの工場により発展した街。
ファエノ:PHAENOとは英語のPHENOMENON(現象)の基となったギリシャ語で”火をつける、発見する”などのイミ。

完成写真はこちら    構造設計のHANIF KARA氏 の講演会に関するmiya氏のブログ 

コチラのページもどうぞ(PDF)

フィーレンディールトラス:斜材を用いない、タテ材とヨコ材のみで構成されたハシゴ状のトラス

06/02/05

パリ、セーヌ川に新しい歩道橋が建設中

パリのシンボルのひとつであるセーヌ川に新しい歩道橋が建設中です。

ドミニク・ペローによる、開いた本を模した、 仏国立図書館の前:ベルシー地区にかかる、ベルシー・トルビアック橋
設計はFEICHTINGER ARCHITECT とパリいちの精鋭構造事務所RFR

非常にライズの小さい、アーチとサスペンションが組み合わさった、一種の サスペンアーチ構造。 そのどちらも歩道となっているので、歩行者は好きな通路を選んで歩ける仕組み。
サスペンションの巨大な張力はパワフルなアンカーケーブルで地中へとアンカーされています。

完成は今年7月で、ソルフェリーノ橋以来の、パリジャン憩いの、 現代的な橋となるでしょう。

概要、施工プロセス、構造概要のページ

施工写真      同じく施工写真:写真が大きく分かりやすい

06/02/02

シカゴで歩道橋デザインコンペ: "Bridging the Drive"

アメリカ、シカゴで、ミース・ファンデル・ローエの超高層 で有名な大通り:レイクショアドライブにかける橋梁デザインコンペが行われました。

3つのサイトに計4つの歩道橋をかけるコンペで、参加者は地元:シカゴの建築家や 招待参加となった、 ウイリアム・オルソップ,R・ロジャース、ウイルキンソン・エアなどの海外の著名建築家たち。

「どっかで見たことあるな〜」(^^)というような案もありますが、 多様な案が提案されており、 一口に歩道橋といっても幅広いデザインがありえることを物語っています

06/01/22

小さな骨の動物園 展 (INAX GALLERY にて)

ちょっと血色の変わったご案内を。

トイレなどの陶器のメーカーとして知られるINAXのギャラリー: INAX GALLERYにて ウサギやペンギンなどのかわいらしい小動物の骨格標本を紹介する展覧会が開かれています。

現在は大阪で開催中で、その後、名古屋、東京と巡回予定です。

生物は、幾多の年月を、自然淘汰の荒波を乗り越えてブラッシュアップされてきた、 ムダのない、一種のパーフェクトな”創造物”ですから、その骨格(構造)を深く考察することは、 建築土木のみならず、あらゆる構造の設計に関わる者にとって、示唆に富んでおり、極めて重要です。

主な展示内容はコチラ    展示内容を収録した書籍も出版されています。

06/01/20

ロンドン、ミレニアムブリッジの制振技術 (東大社会基盤工学科HPより)

ロンドンのテムズ川を渡る、フォスターとアラップによるミレニアムブリッジ。 2000年6月の華々しいオープニングの後、とたんに横揺れが起き、閉鎖となったスキャンダルは有名です。

その後、アラップ必死の改修設計により見事復活し、いまやロンドンの新名所となっています。

この振動問題の解決に日本人技術者が関わったことは実はあまり知られていません。

東大社会基盤工学科藤野陽三教授は、この事故が起こるや否や、アラップからの要請を受け、 問題解決に多大な貢献を果たしました。

氏はパリのソルフェリーノ橋:デザインはマークミムラム の振動問題 (こちらもオープン後横揺れ問題が起こった!)にも関わっており、欧州の二大都市の最新歩道橋! に関わった輝かしい日本人だと言えます

ご紹介する東大のサイトでは、ロンドンでの経験を、藤野教授が誇らしげに語っています。

記事一覧

WTC跡地:ニューヨークの新しいスカイラインが明らかに

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"Mr.Bridge" カラトラバのイスラエル、アテネでの近作

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ザハ・ハディッド ファエノ科学センターの構造

パリ、セーヌ川に新しい歩道橋が建設中

シカゴで歩道橋デザインコンペ

小さな骨の動物園 展

ロンドン、ミレニアムブリッジの制振技術

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